• 空室対策のこと
  • 2023.09.25
人が亡くなられた空き家(不動産の心理的瑕疵)の扱いについて

現代は一人暮らしの高齢者が増えているため、1人暮らしの人が誰にも気付かれることなく1人で亡くなって、長期間気付かれないなどの孤独死は増える傾向にあります。

高齢化社会の中、「自宅や敷地内で人が亡くなられた空き家」を相続するといったケースもあり得ることでしょう。このような家は心理的瑕疵のある不動産に当たります。
今回は、自宅や敷地内で人が亡くなられた空き家の扱いについて解説します。

 

心理的瑕疵とは?

 

心理的瑕疵とは、不動産が通常備える品質や設備自体には問題はないものの、住む人に心理的な抵抗感や嫌悪感を引き起こす欠陥のことを指します。

例えば、一定期間放置された孤独死、自殺や殺人、火災、忌まわしい事件・事故などがこれに該当します。こういった過去に起きた出来事が関連する土地や物件は、「事故物件」とも呼ばれています。
心理的瑕疵は、物件に対して購入意欲を減じる要因です。空き家で人が亡くなると、その物件に対して「心理的な嫌悪感」を抱く可能性があります。これは個人差がありますが、事故や犯罪があった場所に住むことに対して抵抗感を持つ人もいるでしょう。心理的瑕疵の存在は不動産の価値に影響を及ぼすことがあります。

 

心理的瑕疵物件の告知義務について

 

心理的瑕疵のある空き家を売買しようとした場合、告知義務はどのようになっているのでしょうか。
不動産を売買したり賃貸するときには、所有者が知っていることや、不動産業者も通常の調査の範囲で判明することは、全ての情報を相手に告知する義務があります。

告知義務については、以下の法律で規定されています。

宅建業法第47条(業務に関する禁止事項)

第四十七条 宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為

しかし、この条文には告知が必要な期間の指定などの明記がありません。

このように明確な定義がないままで心理的瑕疵物件に対応してきた結果、訴訟のトラブルも多くなっています。

 

心理的瑕疵物件のガイドライン

 

心理的瑕疵物件の取り扱いに一定の線引きをしようと、国土交通省は2021年に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を発表しました。

このガイドラインでは、事故死や自殺・他殺だけでなく、自然死や不慮の事故でも、発見が遅れたことにより遺体が傷んだり、臭気や害虫が発生したりなどして特殊清掃が行われた場合には、告知義務を負うことになります。

売買については期限の定めはなく、原則的に告知が必要です。ただし、賃貸については少なくとも3年間の告知義務があります。
不動産会社は、所有者や管理会社などへの通常の調査を行うことが必要で、周辺住民への聞き取りまでは求めないとされています。
マンションなどの集合住宅の場合は、共用玄関、階段、廊下、エレベーターなどの日常使用する場所は告知義務の対象に含まれます。また、事故死か自然死かが明らかでない場合でも告知義務はあるとされています。

参考:宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001426603.pdf

 

心理的瑕疵物件の売却について

 

心理的瑕疵の不動産を売却する場合、残念ながら価格を下げる必要があるケースが多いでしょう。 値下げの程度は、該当する瑕疵の内容や事故物件となった背景により異なりますし、都心では価格が下落しにくい傾向も見られるようです。

もし、このような物件について遺産分割を考えるときは、「不動産の時価」に注意が必要です。一般査定や相続税評価額による価格ではなく、心理的瑕疵物件としての時価を調べる必要があります。

しかしながら、価格が下がってしまったとしても、納得のいく価格で売る方法を模索することが大切でしょう。心理的瑕疵物件、 事故物件であってもまったく気にせず購入する人もいますし、リノベーションして売り出す不動産会社もあります。

また、心理的瑕疵物件が「空き家」の場合、更地にして土地だけを売るという方法もありますので、専門家に相談しつつ、できるだけ希望に沿う対応を探っていきましょう。

 

まとめ

 

今回は人が亡くなられた空き家の取り扱いについて解説しました。新たにガイドラインも設けられましたが、心理的瑕疵物件については自分だけで判断せず、不動産のプロの助言を受けておくと安心です。

空き家・空き地など、ご所有の不動産についてのお悩みなら、よろず屋不動産までお気軽にご相談ください。